ストレスにつながる目標設定とは?NG事例や具体的な設定方法を解説


ストレスにつながる目標設定とは?NG事例や具体的な設定方法を解説

「目標を達成できないことがストレスで、やる気が出ない」とモチベーションが低下する社員も少なくありません。業務における目標設定は、ときには社員にストレスを与える原因になります。目標設定がストレスになっている場合、目標達成は難しくなる可能性が高いです。
本記事では目標達成の基本的な内容と、ストレスを避ける方法などを解説します。

目標設定がストレスの原因になる?

目標設定なぜストレスになってしまうのか、その原因について2点を解説します。


目標設定は社員のプレッシャーとなることがある

業務における社員ごとの目標設定は、多くの企業が実施しています。目標の達成度によって、昇給・昇格が決まるケースも多いです。しかし目標設定はそれ自体が社員にプレッシャーを与え、ストレスの原因になることがあります。


上司から見れば達成できそうな目標でも、社員個人にとっては難しく感じ、業務へのやる気を失うケースもあるでしょう。また「目標を設定しなければ」「目標を達成しなければ」といった強迫的な概念が、仕事にストレスを生む可能性があります。


目標設定のための時間が業務の邪魔になるケースも

目標設定には、さまざまなプロセスが挟まります。目標設定時には目標を決めるだけでなく上司との面談や、場合によってはチームで会議することもあるでしょう。


無駄なプロセスが多いと本来の業務に使える時間が減り、結果的に社員のストレスの原因となります。目標設定に時間がかかり残業などが増えると、そのストレスから社員の離職につながる可能性も高いです。社員が業務に集中できるように、目標設定の方法や流れに無駄がないか、今一度見直す必要があります。


目標設定の基本的な流れ

目標設定をするには、「組織や部署の目標を把握する」「具体的な数値を設定する」「目標の達成度を測定する方法を決める」「目標達成までの期限を設定する」といった流れが基本です。


個人単位での目標でも、組織や部署の方向性に合わせた内容を設定し、達成可能なレベルに調整する必要があります。また社員個人の目標設定では個人で検討した後に、適切な目標になっているか上司など第三者と面談することが多いです。

目標設定がストレスにつながるケース

目標設定がストレスにつながるケースで共通している、状況やポイントについて解説します。


上司と部下の間に意識の差がある

目標管理をする上司と評価される部下との間に、目標設定の重要性における意識の差があると、ストレスを感じやすいです。たとえば上司の調整した目標設定が、社員個人にとっては高難易度と感じてしまうと仕事自体がストレスにつながります。反対に部下が低いレベルの目標しか設定しなければ、指導する上司にとってもストレスです。


目標設定を通して上司と部下がお互いに「どうして分かってくれないのか」と感じる機会が増えるとストレスとなって、関係性が悪化する恐れがあります。


目標設定の強制がストレスになっていることも

目標設定を急かすと、その環境や雰囲気が社員のストレスになることも多いです。「◯をしなければ」と強制されている状態では、タスクが処理待ちの状態で意識下に存在するため脳の負担になります。そもそも目標設定できる時間的・業務的な余裕がなければ、手一杯な状態がストレスとなりモチベーション低下につながるでしょう。


また「早く設定しなければ」といった意識が先立つと、ストレスを感じるだけでなく有益な目標設定が難しくなります。


目標設定を実施するメリットが見出せない

目標設定が形骸化していると、なぜ目標設定をする必要があるのか分からないため、ストレスを感じるケースがあります。目標設定をする理由が分からなければ業務を行う意義自体に疑問を持ち、モヤついたまま仕事をするためストレスにつながるでしょう。


達成感・やるべきことが明確になるなど、社員にとって目標設定が具体的なメリットにつながることを提示できないと、ストレスの原因になります。


ストレスを意識した目標設定の方法

目標によるストレスを感じてしまうことを意識した目標設定の方法について、解説します。


余裕のある目標を設定してストレスを軽減する

多大な労力を必要とする目標を設定すると、達成までに多くのストレスを感じてしまいます。現状の予算・能力を分析し、現実的に可能なレベルの努力で達成できる目標設定を行うことが大切です。もし目標が大きすぎてしまうと達成度が低くなって評価が下がり、それがまたストレスになる可能性もあります。


目標設定に慣れていないうちは、特に余裕のある目標を設定しましょう。適切な目標を設定すると、適度なストレスでいい緊張感・集中力アップにつながります。


目標達成までに小さな目標を複数設定する

目標達成までに小目標を設定し、達成を繰り返していくことでモチベーションを保ちやすくなります。たとえば「売上を100万円上げる」がゴールであれば、「1日3件に営業をする」「週に5万円の売上を上げる」など、短期間かつ小さな努力で達成できる目標を立てましょう。


逆に小目標がないと、ゴールが遠く感じられてしまい、ストレスの原因になります。達成感はストレスの解消にもつながり得るため、細かい目標も同時に設定することが大切です。


目標設定とその達成をきちんと評価する体制を構築する

社員が目標設定を実施し、それを達成した場合には、きちんと社内で評価する体制を構築することが大切です。目標設定とその達成にメリットがあると理解してもらえれば、努力する理由が分かるため、ストレスを軽減できます。評価につながることが分かっていれば、チャレンジが必要な目標でも社員のモチベーションアップが可能です。


目標が達成できなかった場合も、そのプロセスを評価してモチベーションの低下を防ぐ必要があります。


ストレスにつながる目標設定のNG例

ストレスにつながってしまうような、目標設定のNG例について紹介します。


目標を達成する動機がない

設定した目標を達成する動機が社員にない場合、目標達成のプロセスがストレスになります。たとえば目標を達成しても昇給・昇格など評価に関係せず、社員が得られるメリットがなければモチベーションは上がりません。また設定目標の難易度が不揃いなど、不平等な目標達成だと社員はストレスを感じます。


ただ会社の利益に貢献するだけでなく、それが社員の成長やスキル獲得につながるような形に調整することが大切です。


スケジュールがハードすぎる

人事評価の事情を優先して、無茶なスケジュールで目標設定と達成を促すことはNGです。ハードスケジュールの中で焦って決めた目標は負担が大きかったり、有益な目標設定ができなかったりします。


社員が自分で考え、自発的に行動して目標を達成できなければ意味がありません。意味のある目標を立てるためにはスケジュールには余裕を持たせ、社員がじっくりと目標と向き合える時間を作ることが大切です。


ストレスが目標達成のプロセスに与える影響と対策

社員がストレスを感じることで目標達成のプロセスに与える影響と、ストレスの対策について解説します。


モチベーションやエンゲージメント低下のリスクがある

社員にとってストレスが強い状態が続くと、目標達成までのプロセスの間でモチベーションやエンゲージメントの低下につながります。難易度の高い目標を達成するためには、根性・我慢だけでモチベーションは保てません。


ストレスが続くことで目標達成前に挫折したり、体調不良になってしまったりする可能性が高いです。最悪の場合、離職などにつながる可能性も懸念されます。


ストレスとならないような目標設定と対策が重要

業務の目標設定および達成のプロセスでは、可能な限りストレスを排除するようにしましょう。たとえば、業務や目標設定に関する相談を受け付ける窓口を設置したり、ストレスチェックやケアを定期的に実施したりといったサポートが考えられます。


少ないストレスでモチベーションをキープするには、気持ちに寄り添ったり切磋琢磨し合ったりできる人が必要です。目標達成を社員1人に強いるのではなく、上司やチームが一緒になって達成できるよう動くという意識の浸透が重要となります。


まとめ

高すぎる目標設定がプレッシャーになったり、目標設定が本来の業務に差し障ったりすると社員はストレスを感じます。目標設定を強制したり、上司と部下の間で意識に差があるとストレスにつながりやすいです。目標設定は余裕のあるスケジュールで行い、目標達成した場合の評価体制を整える必要があります。