人材育成計画の立て方は? 基本となる作り方やポイントを紹介


人材育成計画の立て方は? 基本となる作り方やポイントを紹介

グローバル化やデジタル化など様々な社会の変化に伴い、高度なスキルを持つ人材は常に不足しています。企業にとって理想的な人材を確保するための人材育成計画は、もはや待ったなしの課題と言えるでしょう。しかし、正しい手順を踏み、ポイントを押さえないと、人材育成は結果が出ないまま時間や費用を浪費することになりかねません。
この記事では、企業の人材育成計画の基本となる作り方やポイントを紹介します

人材育成計画とは

 企業には、ポテンシャルや経験値が異なる多様なバックグラウンドの人々が集まってきます。そうした人々を、企業の業績や利益の向上に貢献できる理想の人物像に成長させるためのプランが、人材育成計画です。
人材育成計画の中では、「企業の現状と理想の姿」の2地点が明確にされた上で、理想に近づくために必要な人材を育成する施策が、ロードマップとして項目立てられている必要があります。
 
 

人材育成計画の立て方

 人材育成は、正しい手順を踏んでポイントを押さえつつ計画しなければなりません。
ここでは6つのステップに分けた人材育成計画の基本的な立て方と、知っておくべきポイントを説明します。
 

人材育成計画の基本的な立て方

人材育成計画の基本的な立て方は、以下の通りです。
 

1.理想とする人材像を設定する

まずは自社の理念やビジョン、経営戦略、事業計画を再確認します。このとき重要なのは、経営戦略や事業計画は、現在だけでなく、1年~5年くらいのスパンも考えておくことです。会社が理想とする近い未来の状態と、そこに近づくために現在の社員にどのような人材に成長してほしいかを明確にします。
 

2.現状を把握する

現在いる社員の「強み・弱み」あるいは「できること・できないこと」を把握します。この中には、実務的な能力はもちろんのこと、積極性や主体性、協調性など、意識やメンタルの面も含まれます。
 

3.具体的な目標を設定する

「いつまでに、どのような人材になってほしいか」を可視化します。この目標設定は、定性的でぼんやりしたものではなく、「入社3年目で後輩の指導に当たる」「入社5年目には予算3000万円レベルのプロジェクトのリーダーを務める」など、期限を切った定量的なもののほうが伝わりやすく、社員のモチベーションアップにも貢献します。
このときに、現状と比較してあまりにも目標達成までに時間がかかりそうであれば、目標が現実離れしている可能性がありますので、再考する必要があります。
 

4.必要とされるスキルを整理する

現状と目標が確認できたら、その間を埋めるために、どのようなスキルが必要かを洗い出し、整理します。
このとき重要なことは、
 
・スキルの内容に漏れやダブりがないように整理する 
・必要なスキルに優先順位をつける 
・スキル習得までの期限を決める
 
という3点です。
さらに、人事や教育の担当者だけではなく、関連する部門の責任者などを含めて複数人でこの洗い出し・整理の作業に取り組むと、より精度が上がるでしょう。
 

5.能力やスキルを習得する手段を検討する

社員教育の手段には、OJT(On-the-Job Training=職場での実践教育)やOFF-JT(Off-the-Job Training=集合研修、eラーニング、社外セミナーなど、通常業務を離れて行う教育)があります。また、働き方改革、コロナ禍などの影響もあり、オンラインを利用する研修の比重は高まり、内容も急速に充実してきています。
多様化する教育手段の中で、社員のキャリアレベルや、求めたいスキルによって最適なものを選択することが重要です。
 

6.経営陣や現場による最終チェック

ある程度、人材育成計画の形がまとまったら、経営陣や人材育成計画を実際に活用する現場の責任者に内容チェックを受けることをおすすめします。
人材育成計画に現実味があり、無理のないものであるか、また、会社の方針や理念からズレがないかを確認する機会となります。ここで出された意見をもとに、人材育成計画の最終ブラッシュアップを行います。

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人材育成計画を立てる上でのポイント

人材育成計画を成功させるために、常に以下の点を意識しておきましょう。
 

1.企業の経営戦略が先に立つ

人材育成計画は、企業が理想とする姿になることを助けるために行うものです。育成計画が先走り、企業の経営戦略と乖離しては本末転倒です。
この主従関係を常に意識しながら、人材育成計画を立てることが重要です。
 

2.計画には柔軟性を持たせる

人材育成はあくまでも人間を対象にした計画なので、思う通りに進まないこともあります。見直しの可能性をあらかじめ想定し、実態に沿って細かく軌道修正できるような形にしておくと、「ゼロベースからやり直し」というような最悪の事態を避けることができます。
 

3.企業全体を巻き込む

人材育成計画を実際に運用するのは現場の各部署です。人事や教育などに関わる部署だけで作った人材育成計画では現実味に欠け、絵に描いた餅になる恐れもあります。
人材育成計画を立てるメリットを企業全体で共有し、「みんなでより良くしよう」というムードを高めることはとても重要です。
 
 

人材育成計画を立てるメリット

 
人材育成計画を立てることによるメリットは、主に以下の3点です。
 

必要なスキルが明確になる

人材育成計画があることで、必要なスキルが明確になり、その認識を社内で共有することが容易になります。このことで、指導者によって指導内容にばらつきが発生することを防ぎ、ムリ・ムダ・ムラのない人材育成を進めることができます。
 

業務効率を高める

企業の人員は限りがあります。各人がスキルアップをすることで、一人当たりの仕事の質や量が向上し、限りある人材の中で、最大限に業務効率や生産性を高めることにつながります。
 

組織へのロイヤリティが高まる

企業による人材育成の取り組みが明文化されて社員に伝わることで、社員の企業に対するロイヤリティ(愛社精神、帰属意識)向上につながります。ロイヤリティの向上は、離職率の低下や、社員の仕事に対するモチベーションアップなど、多方面に好影響を与えます。
 

まとめ

企業の未来像を描くために、理想の人材を育てることは不可欠です。人材育成計画を作成する際は上記を参考にしてみてください。
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