ストレスチェックにかかる費用│費用の目安・事業主の支払いを抑える方法も紹介


ストレスチェックにかかる費用│費用の目安・事業主の支払いを抑える方法も紹介

労働安全衛生法に従い、事業主に対し、社員へのストレスチェックが義務化されました。ストレスチェックにかかわる費用の大部分は事業主が負担します。この記事では、ストレスチェックにかかる費用の内訳や目安、費用を抑える方法などを紹介します。ストレスチェックに詳しくなり、人事担当者としての業務にお役立てください。

ストレスチェックとは?

ストレスチェックは、社員にストレスの蓄積具合を自覚してもらい、職場環境の改善を図るために実施されます。対象事業者は、年に1回ストレスチェックを実施する義務があります。
 
※参考:ストレスチェック制度簡単導入マニュアル│厚生労働省
 

【事業主が支払う】ストレスチェックにかかわる6つの費用

ストレスチェックで事業主が支払う費用は多岐に渡ります。事前準備から順を追って、事業主が支払う費用について解説します。
 

ストレスチェックにかかる費用 1.事前準備

ストレスチェックの事前準備には人件費がかかります。事前準備として、主に以下の内容を実施しましょう。
 
・社内ルールの策定
・質問票の作成
・面接指導申出書の作成
 
社内ルールでは、ストレスチェックの実施手段や役割、日時や回数、どの範囲を外部委託するかなどを決めます。社内ルールを策定する際に、産業医に来てもらう企業も少なくありません。産業医に支払う報酬は、1時間あたり3~5万円ほどが相場です。
 

無料で使える厚生労働省版ストレスチェック実施プログラム

厚生労働省は、無料でダウンロードできる「ストレスチェック実施プログラム」を用意しています。サイトに掲載されているマニュアルを使えば、回答から結果の出力まで対応できます。ただし、ダウンロードできる質問票は、職業性ストレス簡易調査票(57項目)と、簡略版である23項目版の調査票のみです。
 
より詳細な質問票を使いたい場合は、自社で作成するか、有料で外部委託しましょう。
 
※参考:「厚生労働省版ストレスチェック実施プログラム」ダウンロードサイト│厚生労働省
 

ストレスチェックにかかる費用 2.ストレスチェックの実施

事業主は、ストレスチェックの「実施」を行えません。したがって、必ず外部委託費用が発生します。外部委託費用の内訳を解説します。
 

質問票の配布・回収に関する費用

質問票の配布と回収を行う人を、実施事務事業者と呼びます。実施事務従事者には、人事権のある人はなれません。
 外部に配布・回収を委託する際の費用は、質問数や質問形式により変わります。質問形式は、オンラインまたは紙形式のいずれかを選べます。詳しくは、業者ごとに確認してください。
 

ストレス状況の評価に関する費用

産業医などの実施者が、質問票を見て社員のストレス状況を評価します。すでに専任の産業医がいる場合は、ストレスチェックの費用について確認してください。ストレスチェックがサービス対象に含まれない場合は、新たに契約を交わし、ストレスチェックの報酬を支払う必要があります。
 

ストレスチェックにかかる費用 3.高ストレス者への面接指導

高ストレス者とは、多大なストレスを自覚している社員や、周囲からのサポートが期待できない社員を指します。高ストレス者から申し出があると、事業主は面接指導を実施しなくてはなりません。
 
面接指導の費用は、産業医の時給や面接にかかった時間により変わります。また、面接指導を経て専門機関の受診が必要となった場合は、社員の負担で受診することになります。
 

ストレスチェックにかかる費用 4.集団分析

集団分析は、職場環境の改善を目的として行われます。高ストレス者を、部門・年齢・職種などでグループ分けし、ストレスを高める原因を考えましょう。
 
ストレスチェックとは異なり、集団分析は努力義務です。ただし、職場環境のためには、集団分析は有益といえます。集団分析は外部委託も可能です。外部委託の費用は、個別に確認してください。
 

ストレスチェックにかかる費用 5.ストレスの予防

ストレスを予防する取り組みも、事業主の負担となります。以下の取り組みを計画しましょう。

  • セルフケア研修会
  • コミュニケーション研修会
  • メンタルヘルスケアなどの情報発信
  • 部下をサポートできる管理職の教育
  • 相談窓口の設置

 

ストレスチェックにかかる費用 6.ストレスチェック・面接指導結果の保存

ストレスチェックの質問票や面接指導の結果は、実施者または実施事務従事者が保存します。保存環境を作る際には、消耗品費や人件費が発生します。
 
ストレスチェックの内容は個人情報にあたるため、情報が漏洩しないよう気をつけてください。書類は鍵をかけたキャビネット内に保管する、電子データはパスワードをかけてアクセス権を付与するなどの対策が必要です。
 

ストレスチェックにかかる費用の目安

詳細な費用は、実施する内容や外部委託する範囲、委託先によって変わります。ここで紹介する情報は、あくまでも目安として受け止めましょう。
産業医などの実施者に支払う費用は、1時間あたり3〜5万円ほどが相場です。また、外部業者にストレスチェックを委託する場合は、社員1人あたり数百円ほどを支払います。
 

【社員が支払う】ストレスチェックの費用

ストレスチェックに回答するだけなら、社員はストレスチェックの費用を支払わずに済みます。ただし、専門機関の受診料や治療費、交通費などは社員自身が負担します。
 

ストレスチェックを受けている間の賃金の取り扱い

ストレスチェックは業務時間内に実施し、一般的な健康診断と同じく賃金を支払いましょう。賃金が支払われないと、ストレスチェックを拒む社員が出る恐れがあります。
 

ストレスチェックを外部委託する際の注意点

ストレスチェックを外部委託する際の注意点を紹介します。費用に加え、サービスの内容やチェック方法などを比較し、委託先を決めましょう。
 

注意点 1.トータルコスト

一般的にストレスチェックを外部委託すると、数万円ほどの基本料金に加え、社員の人数分の料金が加算されます。紙、オンラインなど使用する媒体でもストレスチェックの費用は変わります。自社の都合に合わせてトータルコストを計算してください。
 

注意点 2.依頼できる範囲

ストレスチェック以外の業務を、オプションで選べる場合があります。たとえば、日常的な社員の健康管理、集団分析と職場環境改善に向けたプラン検討などを委託できる可能性があります。どこまで外部委託するか社内で方針を決めたのちに、適したサービスを選びましょう。
 

注意点 3.ストレスチェックの方法

ストレスチェックは、社員が利用しやすい方法で取り入れましょう。社用のパソコンからオンラインで回答したいという人もいれば、紙のほうが回答しやすいという人もいます。
 
タレントパレットは、社員の健康状態、生活習慣、ストレスチェック、健康診断データを一元管理することが可能です。ストレスチェック機能も搭載し、「職業性ストレス簡易調査票」や「新職業性ストレス簡易調査票」に対応しています。
 

ストレスチェックに利用できる助成金

助成金を使えると、ストレスチェックの費用を抑えられます。助成金を受け取るための必要要件や、受け取り方を解説します。
 

助成金を受け取るための必要要件と助成金額

令和4年度版「ストレスチェック」実施促進のための助成金の手引には、助成を受けるための事業場の要件が以下のように記載されています。
 
① 労働保険の適用事業場であること。
② 中小事業主であること。
③ 常時使用する労働者が派遣労働者を含めて50人未満の事業場であること。
 
助成金額は、社員1人あたり500円(税込)、1事業場あたり1回の活動につき 21,500 円(税込)です。加えて、助成金の支払いが認められる活動の上限は3回です。
 
※引用:令和4年度版「ストレスチェック」実施促進のための助成金の手引│労働者健康安全機構
 

助成金を受け取る方法

ストレスチェック後に、労働者健康安全機構に宛てて「ストレスチェック助成金支給申請書」を申請しましょう。事業場宛ての返信用封筒も添えてください。
以下の添付書類は必須です。

  • 医師との契約書の写し
  • 医師免許証など医師であることを証明する書類の写し
  • ストレスチェック実施報告書
  • ストレスチェック実施者へ支払った費用にかかわる領収書の写し
  • 事業場の労働保険概算・確定保険料申告書等の写し
  • 振込先の通帳の写し
  • 中小事業主証明書
  • 支給要件確認申立書
  • ストレスチェック助成金支給申請チェックリスト兼同意書

※参考:令和4年度版「ストレスチェック」実施促進のための助成金の手引│労働者健康安全機構
 

ストレスチェック費用を計上する方法

ストレスチェックの費用は、福利厚生費として計上できます。ただし、計上が認められるためには、全ての社員がストレスチェックの受診対象であり、検査を受けた社員の費用を事業主が全て負担している必要があります。また、費用は常識的な範囲に抑えましょう。
 

まとめ

ストレスチェックにかかる費用のほとんどは、事業主が負担します。ストレスチェックにかかる費用を節約するため、外部委託の費用を比較する、助成金を申請する、などの方法を検討しましょう。
また、ストレスチェック機能を標準で搭載しているHRテクノロジーの活用もおすすめです。タレントマネジメントシステム「タレントパレット」は、社員一人ひとりのストレスやモチベーション、健康状態を蓄積しそれぞれに寄り添った人事施策につなげることが可能です。
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