玉突き人事について徹底解説!他の人事異動との違いやメリット・成功させるポイントを紹介


玉突き人事について徹底解説!他の人事異動との違いやメリット・成功させるポイントを紹介

突発的な人員の補填が必要になると、玉突き人事が行われる場合があります。玉突き人事にはメリットもありますが、デメリットもあるため注意が必要です。この記事では、玉突き人事について詳しく解説します。玉突き人事によるトラブルの予防方法や、玉突き人事を成功させるポイントなどを解説するため、ぜひ参考にしてください。

玉突き人事の意味

玉突き人事とは、ある社員を異動させ、そのポジジョンに他の社員を異動させる人事を繰り返すことです。まるで玉突きで玉が連鎖して動くように人事異動が行われるため、「玉突き人事」と呼ばれるようになりました。下の役職から順番に昇任する縦パターンだけでなく、同等の役職同士で異動させる横パターンもあります。


玉突き人事が起こりやすいケース

玉突き人事は、社内で突発的な変化が生じた際に起こりやすいです。具体的には、急に社員の1人が退職することになった場合が該当します。欠員が生じれば他の社員の負担が増えるため、

別の部署から社員を異動させなければなりません。その部署でも欠員を補うために別の部署から社員を異動させると、玉突き人事になります。


玉突き人事と他の人事異動との違い

玉突き人事は、他の人事異動とどのような違いがあるのでしょうか。ジョブローテーション・横滑り人事・配置転換との違いについて、詳しく解説します。


玉突き人事とジョブローテーションとの違い

ジョブローテーションは、社員の能力やスキルを向上させる目的で、計画的にあらゆるポストを経験させることです。部署内のコミュニケーションの活性化や、マンネリ化の防止だけでなく、人材を適材適所に配置するために、ジョブローテーションを目的として行っている企業もあります。あらかじめ計画を立てて異動させている点が玉突き人事との決定的な違いです。


玉突き人事と横滑り人事との違い

横滑り人事とは、現在の役職と同程度の役職で、現在とは異なる他部署や他支店へ異動させることです。玉突き人事は複数の社員が対象となりますが、横滑り人事は該当する役職の社員だけが対象となるため、連鎖的に何人もの社員が異動するわけではありません。


玉突き人事と配置転換との違い

配置転換とは、何らかの目的により社員を異動させることです。業務内容だけでなく、職種や勤務地も変更されます。配置転換は、社員のスキルアップや昇進のために実施されるケースがほとんどです。玉突き人事は明確な目的がないのに対し、配置転換には具体的な目的があることが大きな違いになります。


玉突き人事を行うメリット

玉突き人事にはどのようなメリットがあるのでしょうか。ここでは、玉突き人事を行うメリットを解説します。


業務改善につながる

部署ごとに独自のルールや組織風土がある場合、社員が異動すればそれを見直すきっかけになります。玉突き人事を実施することで業務改善につながり、以前よりも風通しのよい職場になる可能性が高いです。実際、業務改善のために、その部署の社員とは異なる価値観を持っている社員を玉突き人事で配属している企業もあります。


人手不足の解消につながる

急に社員が退職した場合、突発的な人手不足を解消するために、玉突き人事を行うケースもあります。人手不足を補うには新しい人材を採用する方法もありますが、採用コストや教育コストがかかります。また、採用してもすぐ戦力になれるとは限りません。人員に余裕のある部署から玉突き人事を行うことで、手っ取り早く人手不足を解消できます。


部署内の問題を解決する

玉突き人事を行うと、部署内のさまざまな問題解決につながります。たとえば、コミュニケーション不足による人間関係の悪化は、生産性を低下させる原因になります。また、不正が行われても気付くのが遅くなってしまい、大きなトラブルに発展しかねません。玉突き人事により社員を再配置すれば、そのような問題を解決するきっかけになります。


部署間の人員バランスを適正にする

社員の人数や部署の状況によっては、人事異動の時期に最適な配置転換ができないケースもあります。社内の状況が落ち着いた時点で玉突き人事を実施すると、各部署の人員バランスを整えられます。玉突き人事は何人もの社員が対象になるため、複数の部署の人員の適正化を実現可能です。


玉突き人事を行うデメリット

玉突き人事を行うと、デメリットも生じます。具体的にどのようなデメリットがあるのか解説します。


優秀な人材を失ってしまう

玉突き人事は、社員が望んでいない配置へ異動させるケースもあります。社員が不満を持つと人材の流出につながるため、十分な注意が必要です。特に専門職の社員や若年層の社員は、異動に納得できないと転職を検討する可能性があります。玉突き人事を行う際は、慎重に判断することが大切です。


人材の成長やキャリアを止めてしまう

空いたポストを単に埋める目的だけで玉突き人事を実施すると、異動した社員の育成やキャリア形成に悪影響を及ぼすリスクもあります。どうしてもポストを埋めるために玉突き人事が必要な場合は、後からジョブローテーションを行ってフォローしましょう。社員本人の希望も尊重し、成長やキャリア形成を支える必要があります。


社員の負担になる

玉突き人事で突発的に異動すると、社員にとって負担が大きくなります。担当していた仕事を引き継いだり、新しい人間関係を築いたりする必要があるためです。また、異動先の部署では、新しい社員を受け入れるための準備を行わなければなりません。スムーズに作業が進まないことで部署全体の負担が増えてしまい、本来の業務が滞る可能性があります。


今後の適材適所な異動が難しくなる

玉突き人事を行う場合、最優先されているのは業務の継続です。適切な役割分担や各社員のスキルアップは後回しにされがちですが、そのままでは今後の人事異動に影響が出る恐れもあります。たとえば、もともと適正の高い社員が就いていたポジションに適正の低い社員が異動すると、これから適材適所の異動を実現するのが難しくなるでしょう。


玉突き人事によるトラブルを予防するには

玉突き人事を行えば、トラブルが発生するケースもあります。ここでは、玉突き人事によるトラブルを防ぐ方法について解説します。


長期的かつ戦略的な人事計画を立てる

玉突き人事によるトラブルを予防するには、社員が望まない玉突き人事そのものを防ぐ必要があります。そのためには、経営戦略に基づいて長期的かつ戦略的な人事計画を立てると効果的です。


人事計画があれば突発的な人材不足は発生しにくくなり、社員は自らが希望するキャリア形成を実現しやすくなります。生産性も向上し、突発的に退職する人も少なくなるでしょう。


社員の希望するキャリアを企業が知っておく

異動により社員が不満を抱かないようにするには、社員1人ひとりのキャリアに対する希望を企業が把握しておくことが大切です。そうすれば、やむを得ず玉突き人事が起きた場合も、社員の希望を叶えるためのフォローができます。適切にフォローできると、玉突き人事に不満を持って退職する人を減らせます。


基本的な育成計画の指針を作成しておく

玉突き人事を防ぐには、基本的な育成計画の指針を作成しておくことも有効です。あらかじめ育成計画が用意されていれば、玉突き人事による弊害を防げます。特に社員も納得できる内容なら、玉突き人事による異動が発生しても離職は起きにくくなります。


人事異動の基準を就業規則に記載する

就業規則や誓約書には、玉突き人事を行う可能性について盛り込んでおくこともトラブルを防ぐ方法の1つです。人事異動の基準をあらかじめ公開しておけば、万が一玉突き人事が発生しても社員は受け入れやすくなります。社員側も玉突き人事が発生することに納得したうえで入社するため、不満を抱きにくくなるでしょう。


玉突き人事を成功させるポイント

玉突き人事を成功させるには、どうすればよいのでしょうか。3つの成功のポイントについて具体的に解説します。


対象の社員と話し合いをして同意を得る

玉突き人事の対象となる社員が決まったら、話し合いを複数回行って必ず同意を得ましょう。異動の経緯や、引き継ぎのスケジュール、異動先での仕事内容などを詳しく説明し、十分に納得してもらうことが大切です。強行突破で玉突き人事を行うと、社員のモチベーションやパフォーマンスが低下し、退職を考えるきっかけになってしまいます。


玉突き人事完了後のフォローをする

玉突き人事を行ったら、異動後のフォローも忘れてはいけません。新しい部署でもスムーズに対応できるようにしっかりとサポートしましょう。また、異動した社員だけでなく、それまで所属していた部署や異動先の部署に対するフォローも必要です。発生し得る問題やトラブルを事前に考えておき、きめ細やかに配慮することが大切です。


違法な人事異動とならないよう注意する

玉突き人事は、状況によっては違法となる可能性もあるため、十分な注意が必要です。たとえば、就業規則に記載していない異動や、権利の乱用にあたると判断される異動は違法となります。


均等待遇(労働基準法第三条)、不当労働行為(労働組合法第七条)、性別による差別(男女雇用機会均等法第六条)などにも違反しないよう、よく確認したうえで玉突き人事を行ってください。


まとめ

玉突き人事は、社員の退職など突発的な理由で発生します。玉突き人事にはメリットもありますが、トラブルにつながる恐れもあるため注意が必要です。トラブルを防ぐための対策を取り入れつつ、成功のポイントを押さえて玉突き人事を実施しましょう。


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