OKRの意味とは?導入するメリットや手順、ポイントを解説


OKRの意味とは?導入するメリットや手順、ポイントを解説

GoogleやFacebookが採用している目標管理指標であるOKR。効率的に目標管理ができるという理由で日本でも導入を進める会社が増加し、大きな注目を集めています。ただし、これまでの目標管理指標とは異なる点も多く、導入する際はOKRの基本的な概要の理解が欠かせません。
本記事では、OKRの基本概念やこれまでの目標管理指標との違い、導入ステップなどについて解説します。

OKRの意味とは?

OKRとは、「Objectives and Key Results」の略称で、日本語では、「目標と主要成果」もしくは「目標と成果指標」などと訳されます。まず全体的な目標をもとに個人、部署、チームそれぞれのOKRを可視化させ、その達成度を測ることでブレることなく目標を達成させることができる、目標管理手段です。


従来の目標管理手段と比べ、短いスパンで設定・追跡を行い、達成度の見直しや改善を行う点が大きな特徴です。


OKRを構成する要素

OKRを構成する2つの要素、「Objectives(目標)」と「Key Results(主要成果・成果指標)」についてそれぞれ解説します。


Objectives

OKRにおけるObjectivesは、定性的かつシンプルな目標です。大前提として、売上額や利益率、契約数など数字を含んだ定量的な指標は必要ありません。


基本的に、すぐ達成できる目標は避けつつも、1ヶ月から四半期の短い期間で達成可能な目標を立てるようにします。具体的には、「新商品の売上向上」「契約数増加」「新規顧客開拓」などです。


Key Results

Objectivesが数字を含まない定性的な目標であるのに対し、Key Resultsは数字で測ることが可能な定量的な目標になります。Objectivesがどれだけ進んでいるか、達成できているかの進捗度合いの確認に使用する指標です。


通常、1つのObjectivesに対し、3~5つ程度のKey Resultsを設定します。たとえば、「自社製品の契約数を増やす」というObjectivesであれば、「セミナーを月1回開催」「商談数を現在の2倍に増やす」「既存顧客のアップセル率150%を目指す」などです。


OKRの導入が注目されている背景

目標管理手段としてOKRの導入が注目を集める理由として考えられるのは次の2点です。


1つは、ビジネス環境の変化についていくためです。IT技術の進化や消費者の価値観が以前とは大きく変化しており、長期的なスパンでの目標管理では市場のスピードについていけません。そこで、短期間での目標管理が行えるOKRが注目を集めるようになっています。


2つめは、新たな人事評価を導入するためです。従来の目標管理の多くは、報酬を決定する人事評価の一環として行われてきました。しかし、社員のモチベーションを高め会社として成果を上げるには、目標を達成するためのサポートにつながる目標管理が欠かせません。そこで、目標達成のサポートにつながる管理手法であるOKRが求められるようになっています。

OKRと他の目標管理方法との違い

企業が行う目標管理方法は、OKR以外にもKPIやMBOなどがあります。ここではOKRとの違いについて解説します。


OKRとKPIとの違い

KPIとは、「Key Performance Indicator」の略称で、日本語では「重要(主要)業績評価指標」と訳されます。具体的には、目標に対し現状の進捗度を計測するための指標です。


OKRが目標達成につながるプロセスの共有を主眼にしているのに対し、KPIはプロセスの達成度を測ることを主眼としている点が異なります。


OKRとMBOとの違い

MBOとは、「Management by Objective」の略称で、日本語では「目標による管理」と訳されます。ピーター・ドラッガー氏の提唱による指標で、基本的には上司が部下の評価を行う際に使用されるものです。


MBOは、社員の評価管理という観点から、定量的な評価以外に勤務態度や交渉力といった定性的な評価も行います。「上司だけが目標を共有する」「定量的な評価を行う」の2点が、OKRとは大きく異なるといえるでしょう。


OKRにおける2種類の考え方

OKRで目標設定を行う際、ムーンショット、ルーフショットという2種類の考え方があります。それぞれの概要は次のとおりです。


ムーンショット

ムーンショットとは、月を狙うショットという意味で、達成させるのが困難な目標設定をすることを指します。そのため、目標の60~70%程度の達成率で成功とみなします。一般的にOKRでは、ムーンショットが目標設定の基本的な考え方です。


ルーフショット

ルーフショットとは、屋根を狙うショットという意味で、比較的容易に達成できる目標設定をすることを指します。そのため、達成率100%未満では失敗とみなされます。


前述したように、OKRでは、ムーンショットに重点が置かれますが、初めての導入でまだ慣れていない段階ではルーフショットを採用するのがおすすめです。


OKRを企業で導入するメリット

企業がOKRを導入するメリットはさまざまですが、なかでも主なメリットとして次の4点が挙げられます。


会社全体で方向性を一致させられる

OKRの最終的な目標は会社全体の目標です。そのため、OKRの成功を目指していくことが、結果として会社全体の成功につながります。


また、部署やチーム単体での目標管理ではないため、全社員が同じ目標を共有できる点もOKRのメリットです。


状況にあわせて柔軟に調整・変更ができる

1ヶ月から四半期という、短期間での目標管理を行えるのもOKRの大きなメリットです。市場や消費者の変化に合わせ、柔軟に目標の調整や変更ができるため、大きな失敗につながってしまうリスクを軽減できます。


また、個人や部署、チームの目標が可視化されているため、リーダーは常に達成率の確認ができ、達成率が低い社員やチームへ目標達成に向け迅速なサポートが可能です。


社員のエンゲージメント向上が期待できる

OKRでは、会社全体の目標を基に、個人や部署、チームの目標を立てます。自身の目標達成が会社全体の目標達成につながるため、モチベーション向上が実現するでしょう。


自身の目標達成により会社の目標が達成できれば、会社に貢献できている実感も高まり、結果としてエンゲージメント向上も期待できます。


社内コミュニケーションが改善される

部署やチームごとの目標であれば、部署、チーム内でのコミュニケーションは活性化されます。しかし、多くの場合、目標達成には複数の部署、チームが連携・協力をしながら進めていくため、部署やチーム内だけの目標では、円滑なコミュニケーションは実現しません。


OKRでは全社統一の目標を立て業務を進めていくため、部署やチームを超えた連携がスムーズに進み、社内全体のコミュニケーションが活性化されます。


OKRの導入ステップ

実際にOKRを導入する際の具体的なステップについて解説します。


1.会社全体としてのOKRの設定

OKR導入の第一歩は、会社全体としてのOKR設定です。トップダウンで進めていけばスムーズな設定が可能ですが、社員のモチベーションを向上させるには、ボトムアップで進めるのがよいでしょう。


また、最初の段階ではおおまかな目標設定を行い、その後、チームに展開してフィードバックを受けながら必要に応じて調整するとスムーズに進みます。


2.チーム・個人ごとのOKRの設定

会社全体のOKR設定を終えたら次は個人やチームでのOKR設定です。ここでも会社全体のOKR設定と同様にボトムアップで進めていきます。


ただし、個人のOKRについては、上司やリーダーと相談しながら設定した方が全体の目標に対する認識不足による目標設定ミスが避けられるでしょう。後になってから整合性が取れず調整し直す手間が軽減されます。


3.各OKRの進捗のチェック

目標設定を終え実際に業務を開始したら、定期的に進捗状況をチェックし、個人やチームの行動が会社全体の目標設定からズレていないかを確認します。もしズレや遅れがあれば、改善ポイントの発見、修正を繰り返し、精度を高めていきましょう。


4.各OKRの検証・評価

目標設定の期間を終えたら各OKRの検証と評価を行います。目標の達成度をポイントや%でスコアリングし、改めて次の目標設定を行いましょう。


達成できた箇所は、さらに高い目標設定をし、達成できなかった箇所については、未達の原因究明、分析を実施し、次の施策に生かしていくことが重要です。

OKRを導入・運用する際のポイント

OKRを導入し、目標設定を達成させるにはいくつかのポイントがあります。特に重要なのは次の4点です。


目標は具体的に設定する

Objectivesは定性的なものとはいえ、あまりに抽象的過ぎるとKey Resultsの設定が困難になってしまいます。短期間での目標設定のため、現状分析をしたうえで、特定の商品の売上向上、1つのサービスの契約者増加など対象を絞ることが重要です。


また、Key ResultsはObjectivesを受け具体的な数字を決め、定量的に評価することが成果を上げるポイントになるでしょう。


評価測定は素早く行う

OKRの特徴の1つとして、短期間での目標設定、評価が挙げられます。そのため、評価測定は時間を掛けず迅速に行うことが重要です。


評価に時間がかかり、次の目標設定ができなければ、OKRを導入する効果が半減してしまうだけではなく、社員のモチベーション低下も招いてしまうでしょう。


1対1のミーティングを取り入れる

OKRを達成させるポイントの1つは、個人目標の達成です。1人ひとりの目標達成がチームの達成につながり、会社全体の成功につながります。そのため、最低でも月に一回は1対1のミーティングを実施しましょう。


不安を抱えながらでは達成できるものもできなくなるため、定期的なミーティングにより、不安を解消させ、モチベーションをアップさせれば、成功の可能性も高まります。


ITシステム・ツールの導入を検討する

OKRを効率的に進めるにはシステムやツールの導入が欠かせません。社員各自の進捗管理はもちろん、チーム間の情報共有も可能なため、どこにいても業務を滞らせることなく目標管理が可能です。


人材管理システム「タレントパレット」では、OKRを効率的に行うための機能を多数有しています。目標設定や進捗管理、そして1対1でのミーティングを行うための1on1ミーティング機能もあり、これからOKRに取り組む企業におすすめです。


OKRを導入する際の注意点

OKRは人事評価を行うための手法ではありません。人事評価を1つとしてOKRを導入してしまうと、社員は目標設定を保守的にまとめるようになってしまい、チャレンジをしなくなってしまう可能性が高まります。


無難な目標では社員1人ひとりの成長にもつながらず、会社としての目標にも届きません。そのため、OKRの評価と人事評価は分けて考えることが必要です。


まとめ

OKRは、「Objectives and Key Results」の略称で、「目標と主要成果」と訳されます。OKRで成果を上げるには、頻繁に進捗状況を確認し、上司と部下による1対1のミーティングをしながら改善していかなくてはなりません。


そのため、どうしても手間がかかることから、システムやツールの活用が重要です。そこでおすすめなのが「タレントパレット」です。大手企業を始め数多くに導入されており、効率的なOKRの実施に貢献します。