健康経営とは?メリット・デメリット、取り組むべき企業の特徴なども徹底解説


健康経営とは?メリット・デメリット、取り組むべき企業の特徴なども徹底解説

近年、健康経営が注目を集めており、多くの企業が健康経営を意識し始めています。 社員を雇用している企業は、健康経営についてくわしく理解しておくべきでしょう。この記事では、健康経営を目指そうと考えている企業に向けて、健康経営のメリット・デメリットや取り組むべき企業の特徴などを解説します。ぜひ参考にしてください。

健康経営とは

健康経営とは、経営の視点から社員の健康管理を考えて戦略的に取り組むことです。厚生労働省が掲げている「国民の健康寿命が延伸する社会」の実現に向けた、取り組みのひとつでもあります。企業が健康経営に力を入れれば、社員の活力や生産性も向上します。その結果、自社の業績や利益の向上にもつなげることが可能です。

健康経営の考え方は、アメリカの経営心理学者であるローゼンが提唱したといわれています。著書の『The Healthy Company』において、健康経営の基本が示されました。

 

健康経営が注目される理由

健康経営が注目されているのは、社員が健康的に働きにくい状況が問題視されるようになったからです。長時間労働が当たり前になり、仕事を通してストレスを感じる場面も多くなっています。精神疾患に悩まされる人も増え、健康を維持して働くことが容易ではなくなりました。その結果、長期的な休業に追い込まれる人も少なくありません。また、自殺率も増加傾向にあります。

 

新型コロナウイルスの感染拡大後はリモートワークを導入する企業が増加し、働き方の変化によって心身の不調を感じる人も多くなりました。このような状況を考慮すれば、社員の健康管理は企業にとって重要な課題のひとつだといえるでしょう。


健康経営における4つの政策

健康経営に関してはさまざまな政策があります。ここでは、どのような政策なのか、具体的に解説します。

1.健康経営銘柄

経済産業省は、健康経営を実現している企業の株式を健康経営銘柄として認定しています。東京証券取引所に上場している企業のうち、健康経営に優れていると認められる企業を選出する制度です。健康経営銘柄に選定されると優良企業としてのお墨付きを得られるため、株式市場においても資本を集めやすくなるというメリットがあります。

https://www.meti.go.jp/policy/mono_info_service/healthcare/kenko_meigara.html

2.健康経営優良法人

経済産業省は、健康経営に取り組んでいる法人を顕彰する健康経営優良法人認定制度も設けています。健康経営に取り組んでいる企業を可視化し、社会全体の健康経営に対する意識を強化する狙いがあります。健康経営法人として認定されると、健康経営優良法人のロゴマークも使用可能です。社会的な評価も高まります。

https://www.meti.go.jp/policy/mono_info_service/healthcare/kenkoukeiei_yuryouhouzin.html

3.健康経営優良法人ホワイト500

経済産業省が大規模法人向けに実施する健康経営調査において上位500社に選出されると、健康経営優良法人ホワイト500に認定されます。対象は大規模法人全般となっており、上場していなくても健康経営に関する実績を認めてもらうことが可能です。より多くの企業の健康経営に注目が集まるよう、工夫されています。

4.健康経営優良法人ブライト500

健康経営優良法人ブライト500は、中小規模法人向けの制度です。中小規模法人向けの健康経営調査において上位500社に選出された企業が、健康経営優良法人ブライト500として認定されます。選定の条件は、基本的に健康経営優良法人ホワイト500と同様です。上場しておらず規模が小さい企業であっても、健康経営について認定を受けられます。

健康経営のメリット

健康経営に取り組むとどのようなメリットがあるのでしょうか。以下でくわしく解説します。

組織の活性化

企業が健康経営に取り組んで社員の健康に投資すると、社員の活力を高められます。その結果、各社員が取り組む仕事の効率アップを期待できます。企業全体の生産性も向上させられるため、ビジネスの成果も発揮されやすくなるでしょう。健康経営による組織の活性化は、企業として成長していくうえで大きな意味をもちます。

社会的な評価を得られる

健康経営に力を入れれば、企業に対する社会的な評価も高められます。すでに触れたとおり、経済産業省は、健康経営に取り組む上場企業を認定する健康経営優良法人認定制度を創設しました。

 

この制度で健康経営銘柄として選定されると、経営的な視点から社員の健康管理を意識して戦略的な取り組みを実施している企業だと認められます。社員、求職者、取引先の企業、金融機関などが企業に対して抱くイメージも高められるでしょう。


リスクマネジメントになる

健康経営に対する取り組みは、企業としてのリスクマネジメントにもなります。社員が心身の問題を抱えた状態で仕事をこなしていると、不祥事や事故も発生しやすくなるでしょう。場合によっては社員個人の問題では収まらず、企業や社会に対して大きな影響を与えるおそれもあります。その場合、事態を収束させるために大きな手間やコストがかかる可能性もないとはいえません。

 

リスクマネジメントに力を入れるうえでは、社員の健康管理も重要な取り組みのひとつです。日頃から健康経営を意識していれば、労働災害の発生も防止できます。


医療費を軽減できる

健康経営に取り組んで社員の疾患や疾病率が下がれば、医療費の軽減も期待可能です。社員の医療費が増加すると、企業が加入している健康保険組合の財政悪化につながります。その状況が続けば、健康保険料が高騰する可能性が高まり、加入者や企業の負担も大きくなるでしょう。

 

そのような状況を回避するには、健康経営に力を入れて社員の心身の健康を維持向上させる必要があります。


健康経営のデメリット

健康経営には、注意したいデメリットもあります。健康経営のために施策を始めても、その効果を検証するのは簡単ではありません。具体的なデータをとって効果を把握するのが難しく、取り組みに力を入れてもどれくらいの意味があったのか確認することが困難です。

 

また、企業が健康経営に力を入れれば、社員自身が働き方に関する課題に向き合う必要があります。その結果、社員にとってストレスや負担がかえって増える可能性もあるでしょう。さらに、企業全体で健康経営を推進するには、影響力が強い人が率先して呼びかけなければなりません。そのためには、トップが健康経営の重要性を理解したうえで、積極的に取り組むことが重要です。


健康経営に取り組むべき会社の特徴

健康経営に取り組むべきなのは、どのような会社なのでしょうか。具体的な特徴を以下で解説します。

ストレスを抱えている社員が多い企業

社内にストレスを抱えている社員が多くいる企業は、健康経営に取り組むべきです。2015年以降、ある程度の規模以上の企業に対し、社員のストレスチェックが義務付けられました。ストレスチェックの結果が悪い場合、社員の健康に問題が生じている可能性が高いでしょう。

 

社員の心身の健康に関する問題を放置していると、企業全体に影響するおそれがあります。状況の悪化を防ぐためにも、健康経営の取り組みに力を入れることが大切です。


長期休業している社員が多い企業

強いストレスを感じたり精神疾患を患ったりしている社員は、長期休業するケースも珍しくありません。そのような社員が多い場合、企業の体制にも問題がある可能性があります。自社の状況を改めて見直し、健康経営を目指す必要があるでしょう。

 

社員が感じている強いストレスを放置していると、うつ病や自殺を引き起こすリスクもあります。そのような事態を防ぐためには、企業が率先して健康経営を意識しなければなりません。


人材不足になっている企業

人材不足に陥っている企業では少ない社員で仕事をこなす必要があるため、長時間労働が常態化しやすい傾向があります。長時間労働は心身に支障をきたす大きな原因です。仕事が忙しいと、心身の不調を感じていても休んだり病院で診察を受けたりするのが難しくなります。問題を放置した結果、状況の悪化や病気の慢性化にもつながるおそれがあります。

 

人材不足に陥っている企業は健康経営にも力を入れ、社員の健康を維持できるよう配慮すべきです。


中高年世代の社員が多い企業

中高年の主な死亡理由は、悪性新生物、心疾患、脳血管疾患です。年齢を重ねるとこれらの病気にかかるリスクが高まりますが、早期発見により治療すれば完治する可能性もあります。健康経営に力を入れて社員の健康状態に配慮し、病気の早期発見を目指すことが大切です。

 

中高年になると、企業のなかでも特に責任が重いポジションに就く人も多くなります。そのような人材が病気で働けなくなると、企業にとっても大きな痛手です。健康経営に取り組み、安定的に企業を運営できるようにしましょう。


健康経営の導入方法

健康経営を導入する際は、まずはそのことを社内外に周知しましょう。健康経営に関する内容を経営理念に追加したり、明文化したりすることも大切です。さらに、健康経営を推進する部署や担当者を決め、プロジェクトチームを設立して研修を実施します。

 

また、社員の健康に関する情報をまとめ、可視化しましょう。健康診断やストレスチェックの受診率や結果なども確認し、どのような課題を解決する必要があるか検討します。具体的な健康管理計画を立て、実行したら結果を検証します。そのうえで、自社の健康経営に関する取り組みを社外にも公表しましょう。たとえば、プレスリリースを活用して公表する方法もあります。

タレントマネジメントシステム「タレントパレット」は、簡単なアンケートから社員の健康状態やストレスを測定し蓄積。社員個人の推移や、組織ごとの傾向を確認することも可能です。

まとめ

社員が置かれている状況を考慮し、健康経営に力を入れる企業が増えています。健康経営を意識すれば、社員の健康を守れるだけでなく自社のビジネスも成長させやすくなります。


健康経営には戦略的な人事管理が必要です。タレントマネジメントシステム「タレントパレット」は、社員の健康診断受診状況やヘルスチェックアンケート、ストレスチェックアンケートなどを人材データに紐付けて管理ができます。社員個人の履歴や組織ごとの傾向を把握することで、健康経営の支援をする人事システムです。

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