雇用形態の種類を知る|働き方別のメリットやデメリット、保険適用範囲を具体的に解説


雇用形態の種類を知る|働き方別のメリットやデメリット、保険適用範囲を具体的に解説

雇用形態には正社員や契約社員、派遣労働者、パートタイム労働者などの種類があり、それぞれ適用される法律や社会保険の適用範囲などが異なります。企業はこれらをしっかりと把握して社員の能力を発揮しやすい雇用形態で契約し、人材の最適配置によって組織力を最大化することが重要です。本記事では、雇用形態の種類やそれぞれのメリット・デメリット、社会保険適用範囲などについて解説します。雇用形態を知って組織のパフォーマンスを向上させたいなら、ぜひ参考にしてください。

雇用形態と雇用契約について

最初に雇用形態の種類や正規雇用・非正規雇用、直接雇用・間接雇用の違いについて解説します。


雇用形態とは

雇用とは、労務者側(社員側)が労務に服することを約束し、一方で使用側(企業側)が労務者に対して報酬を与えると約束することで成立する契約のことです。また、雇用形態とは企業とそこで働く社員が雇用契約を締結するときの雇用契約の種別です。


雇用形態は、契約内容や契約期間、勤務時間などの条件によってその種別が決まり、労働契約が成立した時点で確定します。「正社員」「契約社員」「アルバイト・パート社員」「派遣社員」などが含まれます。


正規雇用と非正規雇用

正規雇用と非正規雇用は法で定められた区分ではなく、労働基準法では給与をもらって働く人は全員「労働者」となって法律上の線引きはありません。一般的に使われる正規雇用とは、雇用期間に期限がない無期雇用の働き方で、いわゆる「正社員」が該当します。一方の非正規雇用は、正規雇用以外のすべての雇用形態を指します。


直接雇用と間接雇用

直接雇用とは企業と社員が直接契約を結ぶ方法で、正社員やパート・アルバイト、契約社員などが該当します。間接雇用は派遣社員が該当し、人材派遣会社(派遣元企業)と雇用契約を結んだ上で派遣先企業で働く方法です。


雇用形態の種類

続いて雇用形態の各種類について、下記にて詳しく解説します。


正社員

正社員とは一般的に労働契約期間に定めがなく、就業規則に定められている所定労働時間(1日8時間、週40時間)がフルタイムの直接雇用の社員です。


【給与体系】月給・年俸 

【社会保険】労働災害保険○ 雇用保険○ 健康保険○ 厚生年金○


短時間正社員

短時間正社員とは、フルタイムで働く正社員と比較して所定労働時間(もしくは所定労働日数)が短い正社員です。給与体系や付与される社会保険は、正社員と違いがありません。


【給与体系】月給・年俸 

【社会保険】労働災害保険○ 雇用保険○ 健康保険○ 厚生年金○


契約社員、嘱託社員

契約社員とは、あらかじめ労働契約に雇用期間が定められており、期間満了によって労働契約が自動的に終了する契約を交わして働く社員です。嘱託社員は、定年退職後の再雇用された労働者のことを指すケースが増えています。


仕事内容や勤務時間は特に法的な決まりがなく、一般的に正社員同様、全ての社会保険が付与されます。


【給与体系】月給・日給 

【社会保険】労働災害保険○ 雇用保険○ 健康保険○ 厚生年金○


派遣労働者(派遣社員)

派遣労働者は、勤務する企業の直接雇用ではなく、派遣元企業(派遣会社)と雇用契約を締結して派遣先企業で業務を行う働き方です。労働者は、派遣先の指揮命令を受けて働くことになっています。こちらでは労働者派遣法が適用されます。


【給与体系】時給 

【社会保険】労働災害保険・雇用保険・健康保険・厚生年金:派遣会社で加入


パートタイム労働者

パートタイム労働者とは、同じ事業所に雇用されている正社員と比較して1週間の所定労働時間が短く、雇用期間に定めがある雇用形態です。パートタイマーやアルバイトなどさまざまな名称で呼ばれるものの、パートタイム労働法によって定められている条件に一致すれば一律パートタイム労働者となり、法律上の区別はありません。


【給与体系】時給 

【社会保険】労働災害保険○ 雇用保険・健康保険:適用範囲あり 厚生年金×


雇用契約が結ばれない働き方

「業務委託契約」や「自営型テレワーカー」は企業側と個人事業主等の間に雇用契約が結ばれない契約形態です。下記にて詳しく解説します。


業務委託(請負)契約

業務委託(請負)契約とは、仕事の注文主の指揮命令を受けない、いわゆる「事業主」として扱われる契約です。一般的に受注した仕事の成果物に対して報酬が支払われます。こちらは労働基準法の保護対象とはなりません。


自営型テレワーカー

自営型テレワーカーとは、企業から仕事を委託され、パソコンなどの機器を使い業務を行う在宅就業者です。業務委託契約と同様に、報酬は仕事の成果物に対して支払われます。最近は個々のライフスタイルにあう柔軟な働き方として、自営型テレワーカーへの関心や期待が高まっています。

雇用形態別のメリット・デメリット

ここからは、正社員と非正規社員のメリット・デメリットを解説します。


正社員のメリット・デメリット

正社員は雇用や保障が安定しているため待遇が良いとされていますが、デメリットもあります。それぞれ解説しましょう。


正社員のメリット

正社員のメリットとして最も大きなものは、雇用期間の定めがないため雇用が安定していることでしょう。また社会保険は全て付与され、ボーナスや退職金制度の適用があります。昇給昇格のチャンスもあり責任のある仕事ができるのも特徴です。福利厚生や研修制度など社員としての保障も充実しています。


正社員のデメリット

一方正社員のデメリットはフルタイム勤務で、残業発生時には定時退社が難しいことがあげられます。転勤やジョブローテーションもあり、勤務先の事情によって希望の職種につけない場合もあります。


非正規社員のメリット・デメリット

続いて非正規社員のメリット・デメリットについて解説しましょう。


非正規社員のメリット

非正規社員は一般的に、希望する時間帯や日数など自分の思い通りの働き方が可能です。兼業もできます。転勤なども無く業務範囲が一定なので、変化が苦手な人には向いている雇用形態といえるでしょう。


非正規社員のデメリット

一方非正規社員のデメリットは、不安定な雇用で将来的な生活設計がしにくいなどがあります。また研修等教育を受けるチャンスが少ない、退職金制度が無い、福利厚生面で正規社員と差があるなどの待遇の違いもあげられるでしょう。


雇用形態別の社会保険適用範囲

社会保険の加入は、労働契約における勤務時間や収入などの条件や雇用形態によって異なります。下記にて解説します。


労働災害保険

「労働災害保険」は、労働者が業務上または通勤途中で、負傷や病気、死亡などに至った場合に、被災労働者や遺族を保護する制度です。雇用されていれば、全ての人に適用されます。


雇用保険

雇用保険は、労働者の失業に対して生活や雇用の安定、再就職の支援などを行う制度です。雇用主は、週20時間以上勤務する社員を正規・非正規社員など雇用形態を問わずに雇用保険に加入させる義務があります。


厚生年金、健康保険

社会保険制度は、厚生年金と健康保険の2つから成り立ちます。厚生年金と健康保険への加入要件は2つあり、1つは就業時間が概ね週30時間以上、もう1つは以下の5つの条件を全て満たしていることです。


①所定労働時間が週20時間以上

②月額賃金88,000円以上

③勤務期間に1年以上の見込みがある

④社員数501名以上の企業(500名以下の企業は別途条件)

⑤学生は除外


まとめ

雇用形態にはさまざまな種類があり、それぞれ適用する法律が異なり社会保険などの適用範囲も異なります。これらを適切に管理してそれぞれの能力を最大限活かすには、ツールの活用もご検討ください。


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