人的資源管理(HRM)とは|代表的なモデル概念や手法・導入事例などを紹介


人的資源管理(HRM)とは|代表的なモデル概念や手法・導入事例などを紹介

人的資源管理(HRM)とは、人材を資源と捉え戦略的に育成・活用していくことです。人事の課題や問題点を解決したいと考えている人事担当者も多いと思います。この記事では、人事課題を抱えている人事担当者に向けて、人的資源管理の概要から主要なモデルの種類、導入事例までを解説します。ぜひ参考にしてください。

人的資源管理(HRM)とは

人的資源管理「Human Resource Management(ヒューマン・リソース・マネジメント)」は、人材を労働力として見るのではなく、企業の重要な資源と捉えて管理・運用を行うことを意味します。人材は、経営資源の4つにあるヒト・モノ・カネ・情報の中の1つです。ヒトは人的資源とも呼ばれ、企業経営において重要視されています。以下では、関連用語と人的資源管理の違いを解説します。

人的資源管理と人的資源開発(HRD)の違い

人的資源開発「Human Resource Development(ヒューマン・リソース・デベロップメント)」は、経営目標にあわせて組織的に人材育成に取り組むことを意味する用語です。人的資源管理を実施する目的は人材のパフォーマンス向上であるのに対し、人的資源開発は人材のスキル・知識などの能力開発に特化しています。

人的資源管理と人事労務管理(PM)の違い

人事労務管理「Personnel Management(パーソネル・マネジメント)」は、人材を労働力と捉えた概念のもとで管理・統制を行い、企業の利益を重視する仕組みを指します。両者の違いは、人材をどのように捉えるのかといった前提や、戦略的側面、ライン管理、主要な管理方法などに大きな違いがあります。

人的資源管理と人的資源活用(HRU)の違い

人的資源活用「Human Resource Utilization(ヒューマン・リソース・ユーティリゼーション)」とは、人材を適切に配置・育成することです。人的資源活用は人材が活躍できる環境の整備を重視しています。人的資源管理は人材を管理するための方法を指していますが、人的資源活用は人材を育成する方法や、具体的なテクニックなどを意味します。

人的資源管理と組織行動学(組織行動論)の違い

人的資源管理と組織行動学(組織行動論)は、目標の実現のためにヒトや組織を動かすという点で共通しています。ただし、人的資源管理は、人や組織を動かすための制度や仕組みを整備するためのものです。
一方で、組織行動論は個人の内面にフォーカスしており、他者への影響を把握したり、自身のミッションを認識したりすることを重視しています。

人的資源管理が注目されるようになった背景

人的資源管理が注目されたのは1990年代からです。大量生産や大量消費を目的にしていた1960年代まで、人材は労働力やコストと考えられていました。1990年代以降は終身雇用制度が崩壊し始め、グローバル化が急速に進んだことで、個人を重視した人的資源管理を導入する企業が増えました。
人的資源管理は、人的資本理論と人間関係論などの行動学がもとになり、新たに生み出された概念といわれています。

人的資源管理における「人的資源」の捉え方

人的資源管理では、人的資源をどのように捉えているのか以下で解説します。

人的資源は大きな資産である

経営学者で知られるピーター・ドラッカーは、人的資源こそが企業の潜在能力を最大化させる資源であると提唱しました。人的資源は大きな資産であるものの、管理方法によって経営が変わってしまうと考えられています。

人的資源は生身の人間である

人的資源は生身の人間(ヒト)であるため、喜怒哀楽の感情や意思を持っています。感情や意思を無視すれば、反発を受けるでしょう。ヒトはモノ・カネ・情報にはない自律性を持つため、管理者の手腕が問われます。

絶対的な管理手法はない

人的資源管理は、これをすれば100%うまくいくなどの管理手法は存在しません。管理方法に正解がないからこそ、多種多様なアイデアを活かす余力があり無限の可能性を秘めています。

人的資源管理の代表的なモデル

人的資源管理にはモデルと呼ばれるものがあります。以下では、代表的なモデルを紹介します。

AMO理論

AMO理論は、能力(Ability)、モチベーション(Motivation)、機会(Opportunity)の3つの要素で構成されています。個人の能力を最大化するよりも、仕事への満足感や達成感、組織に対する信頼に作用しやすいです。

PIRKモデル

PIRKモデルは権限の委譲(Power)、情報の共有化(Information)、公平な報酬(Reward)、社員に帰属する知識(Knowledge)と、4つの要素で構成されています。社員の帰属意識を向上させ、離職率の低下につなげることができます。

ミシガンモデル

ミシガンモデルとは、ミシガン大学などが行った研究をベースにしたモデルのことです。個人はもちろん、組織全体のパフォーマンスの向上を目指す考え方を指します。

ハーバードモデル

ハーバード大学の研究を原型にしたモデルがハーバードモデルです。社員の能力を発揮させ、コミットメントの向上を目指す中で、組織と個人の目標をリンクさせることを目的にしています。

タレントマネジメント

タレントマネジメントとは、経営目標の達成のために社員の素質や才能を見極めて活かしていくための仕組みのことです。タレントマネジメントは人事戦略そのものであるといわれており、労働力不足やグローバル競争、働き方改革、技術革新などの環境の変化に対応するために重要視されている取り組みです。

代表的なモデルには課題や問題点もある

ミシガンモデルとハーバードモデルには課題や問題点があるといわれています。以下では、課題と問題点を解説します。

ミシガンモデルの課題と問題点

ミシガンモデルの最優先事項は、企業戦略にあります。人的資源管理で重要視されている個人の問題が軽視される傾向にあることから、個人の能力を適切に把握できない可能性が考えられます。

ハーバードモデルの課題と問題点

ハーバードモデルでは、労働者は企業ではなく社会的な資産とする前提があります。社会との一貫性と調和を大切にすることが重要だとする一方で、社員をモノのように見る傾向があるといわれています。

タレントマネジメントによる人的資源管理のメリット

タレントマネジメントは社員の才能・能力(タレント)などを引き出し、最大限に活かすための施策を実施します。結果として、社員のモチベーションの向上につなげることも可能です。さまざまな指標をもとに管理を行うタレントマネジメントを導入することで、モチベーションが低下している社員を見つけやすい環境を整備できます。

人的資源管理による人事制度とは

人的資源管理を行ううえで、社員の視点に寄り添える人事制度を整備する必要があります。企業が取り組むべき人事制度を以下で紹介します。

在宅勤務(テレワーク)

在宅勤務やテレワークを導入している企業は増加傾向にあります。テレワークを実施するにあたって、オフィス以外の場所でも業務をスムーズに行うためには、システム導入などの環境の整備が不可欠です。

フレックスタイム制

フレックスタイム制とは、社員自身が始業・就業時間を決めることができる制度です。社員それぞれのライフスタイルにあわせた勤務が可能になり、多種多様な勤務形態に対応できます。

業務時間の見直し

業務時間を見直すためにはムダな残業を減らし、適切な人員を配置するなどの調整を行う必要があります。また、定期的にチェックする仕組みを設ければ、課題や改善点を一早く発見して解決につなげることができます。

人的資源管理に効果的な評価制度

人的資源管理を行ううえで、効果が期待できる評価制度を以下で解説します。

360度評価

360度評価とは、上司はもちろん部下や同僚、顧客などの評価を取り入れた制度です。多様な視点から見た個人を総合的に評価できるため、社員の納得も得られやすい評価制度といえます。

コンピテンシー評価

コンピテンシー評価は職務ごとに決められた行動特性をもとに、社員の能力や特性を評価するための制度です。コンピテンシー評価を採用することで社員に不足しているスキルや、キャリアの形成に必要なスキルを見極めやすくなります。

目標管理制度(MBO)

目標管理制度「Management By Objectives(マネジメント・バイ・オブジェクティブス)」は、組織の目標につながる個人の目標を社員が自ら設定し、達成度を評価の指標にした制度です。社員の自主性を高め、モチベーションの向上につなげられます。

人的資源管理の導入事例

人的資源管理にタレントマネジメントシステムを導入した4つの企業の事例を、以下で紹介します。

三菱UFJリサーチ&コンサルティング

三菱UFJリサーチ&コンサルティングでは、コンサルティング未経験者の早期立ち上げが課題でした。人的資源管理・評価管理・職場管理の3つの領域で、自社の課題は何でどこから取り組めばよいのかを明確にできるため、タレントマネジメントシステムの導入を現場主体で進めました。結果的に、社員の中長期的なキャリアの方向性を踏まえた人材育成が可能になりました。

インターネットイニシアティブ

インターネットイニシアティブはタレントマネジメントシステムを導入し、社員を見える化することで戦略的な人事育成を実現しました。社員は会社全体の中で自分がどの位置にいるのか、上司からの評価などをレーダーチャートで確認できます。一方で、人事担当者側では、人事制度上で評価された結果の等級や、労働時間から時間帯別のパフォーマンスを割り出し、評価に活用しています。

日本ピラー工業

日本ピラー工業は採用・育成を連動させ、それぞれの課題をまとめて解決することに成功しています。タレントマネジメントシステムを導入したことで、人材の配置・育成の精度を高めただけでなく、社員のモチベーションも向上しました。また、人事情報を一括管理し、採用管理から離職防止に活用しています。

LIXIL Advanced Showroom

LIXIL Advanced Showroomは、研修管理の一元化によって社員の育成を促進しています。タレントマネジメントシステムに研修関連のデータを統合したことで、人事領域における課題が明確になりました。研修内容を400以上のeラーニングコンテンツに集約したため、人材育成部門の業務の効率化につながっています。

まとめ

人的資源管理は、人材を資源と捉えて戦略的に育成・活用する管理方法です。課題と問題点が存在するモデルもありますが、タレントマネジメントであれば、社員の能力を最大限に活かした施策を実施でき、モチベーションの向上も期待できます。
タレントマネジメントシステム「タレントパレット」では、人的資本の見える化や開示を支援するコンサルティングサービスを提供しています。
タレントマネジメントシステムの導入を検討されているなら、ぜひ資料をダウンロードしてみてください。